朝起きると雨戸、カーテン、ブラインドと、とにかく日差が入るところは開けて置く。太陽が上り日差が入ってくると、それだけで少しの間は穏やかな気分になれる。とは言うものの、太陽の動きは思いの他速く、あれよあれよという間に日の当たる範囲が狭まっていくのです。中途半端な寒さの間の朝の楽しみです。もう11月、暖房を入れればそれで済むことなんですが、、、。(2014年秋詠)
カテゴリー: 2014
小さきが小さき羽音小鳥来る
好きな鳥の一つに柄長(エナガ)があります。集団でやって来ます。雀よりも小さい、黒と白のモノトーンの鳥です。歳時記では夏に分類されていますが、秋や冬にもやって来ます。むしろ秋や冬のほうが、葉を落した木々を移る姿に存在感があります。チッチチッチチッチといつ聞いても楽しそうに鳴き交わしながら木から木へ移って行きます。人懐っこいと言うほどではありませんが、比較的近くまで来て平気のようです。もちろん小さいぶんだけ羽音も小さい、、、。(2014年秋詠)
秋深し郵便局長幟出す
早いですね、昨日が年賀状の発売日だったようです、、、。昨年の晩秋のある朝、田舎の小さな郵便局の前を通りかかったら、局長さんらしい男性が赤い「年賀状」と書いた幟を出していた。霧が晴れてきて少し日差が見え出した朝の郵便局の前で、白シャツにネクタイ姿で幟を出しているその動作が、いかにも毎日の業務として板に付いているように見えて、少し可笑しくもあった、、、。(2014年秋詠)
晩秋の絵画展出でまぶしき日
先日美観地区を吟行していて、公民館に水彩画展の看板を見つけて入ってみました。絵画教室の作品展で、生徒の作品と数点の講師の作品を展示した小さな展覧会です。おなじような静物の作品が、おなじように配置して展示されているのですが、中にところどころちょっと目に付く作品があって、近寄って見ると作者名が「講師○○○子」と同じ講師名になっているのです。やっぱり講師は講師なんだと感心して、ちょっと長居をして見てしまいました、、、。(2014年秋詠)
木の実降る音は神代の昔より
昨年の倉敷阿智神社での句。阿智神社には大小さまざまな木の実が降ります。その音を聞きながら昔に想いを馳せるのも良いものです。阿智神社は航海の神様だそうです。その昔は阿智神社の下までが海だったとの事。と言うことは、大きな津波が来れば、そこまでは浸かる可能性があるという事なのでしょうか、、、。(2014年秋詠)
今生の別れに来しか秋の蝶
いつまでも暖かいと思っていたら急に寒くなった。一昨日の夜には木枯まで吹きだして、朝には庭一面が落葉に覆われていた。暖かい日が続くので、これなら蝶々も当分大丈夫だろうと思っていたのだが、、、。とは言うものの、今見られるのは小さな黄蝶がほとんどで、大きな蝶はすでに見られなくなっている。河原に伸びた草にぶら下がるようにして、じっと日を浴びている黄蝶がたくさんいる。やがて本格的な寒さが来れば彼らも目に付かなくなる。掲句は昨年、本格的に寒くなった後、暖かくは無い日だったのに揚羽に出会った日の句、、、。(2014年秋詠)
切れさうな街灯一基十三夜
今夜は十三夜です、、、。掲句は昨年の十三夜、二階の寝室の窓から見ると、街灯が一つと、ちょうど隣家の屋根の上の高い位置に十三夜の月が見えます。月は灯りが消えた家々を万遍なく照らしています。その下で灯ったり消えたりを繰り返す、その切れかかった街灯だけが人間世界の存在感を示しているのでした。今年はもう治っています、、、。(2014年秋詠)
露座売のギターで秋を奏で売る
また露座売の句です。こちらは429号線沿いの道の駅「かもがわ円城」の露座売です。ここは倉敷美観地区と違い、平日に通るといつも暇そう。その割りにいつも明るい小父さんの露座売です。この時は古びたギターを抱えてフォークソングを歌っていました。良く見ると売り物の一つで、同じようなガラクタが所狭しと並んでいます。そうそう、以前にもこのブログに登場してもらったことがあります。その時の句では居眠りを、、、。(2014年秋詠)
朝日差す刈田に株の影長く
素人考えになりますが、稲刈がコンバインになって切株の高さが増したように感じます。それに高さがまちまちです。一つには機械の特性と、もう一つは藁を必要とすることが無くなったからだろうと思います。全てが手作業で、藁を必要とした時代には、出来るだけ長く揃った状態で刈る必要があったのでしょう。その後の田を起していくにしても、株の高さが作業効率に大きく影響しただろうと考えられます。今は、ほとんど稲刈と同時に藁は裁断され、そして火をつけて焼かれるか、トラクターで株ごと一挙に返されるかです、、、。上り始めたばかりの朝日がその高い株の影を長く映しています。田の表面を霧が這うように流れて行きます。県北の朝はすっかり冷え込むようになりました、、、。(2014年秋詠)
杉木立山粧ひてなほ暗し
大きく育った杉木立は年がら年中暗い。暗いという先入観念は捨てなければならないと、思うのだがやっぱり暗い、、、。(2014年秋詠)