酒蔵の通れば匂ふ花の昼

掲句は倉敷アイビースクエア脇の路地での句ですが、酒蔵はどこに行っても良い匂いがしますね。飲兵衛ではありませんが惹かれる匂いです。中学生の時には自転車で醤油工場のそばを通って通学していましたが、これもまた良い匂いでした。ようするに日本的な酵母の匂いと言えるかも知れません。それが好きと言うことになるのでしょうか、、、。(2015年春詠)

住み古りて梟杜の主となる

4月1日、エイプリルフールですが、まともでないような、まともな話です。春になると夜に近所の神社の杜から梟の声が聞こえてきます。時々は寝室のすぐ近くで聞こえることがありますから、たぶん我が家の傍まで来ているのだと思います。梟は留鳥で俳句では冬の季語に分類されています。けれど、近くの神社から聞こえてくるのはなぜか春ばかりなのです。ちなみに掲句は昨年の春に詠んだ句、ウソではありません、、、。(2015年春詠)

また一人花見る人となりに行く

堤防の一画に桜並木があります。そこに続く畦道があります。堤防の上を通り、あるいは畦道を通り、桜のシーズンには人が集まって来ます。みんな顔が上を見ていますので、桜が目的とすぐわかります。また一人、、、。(2015年春詠)

川土手に止まるパトカー桜東風

風雲急を告げるなんて事ではなくて、交通事故の処理の後で一休み、せっかくだからと桜並木のある土手でパトカーを止めて、ぐらいの事だと思いますが、あの赤い回転灯はどこで見てもドキッとしてしまいます、、、。(2015年春詠)

白さより太さ勝れり春大根

個人的な感想かも知れないけれど、春大根のほうが太い気がする。先日も台所に頂き物の巨大な大根が転がっていた。これで何日大根が続くかと思ったのは別として、まず白さより太さのほうが目に付いた。立派!それで掲句を思い出した次第です、、、。(2015年春詠)

藪椿闇にゆるるは目の如し

近くに昼間でも薄暗い神社があります。神社と言えば椿がつき物ですが、その神社にも周囲の藪に何本もの椿があります。手入がされていない藪の中ですから花数も少なく大きさも小さい。真ん中の黄色だけが薄暗い中で目立つのです。それが風に揺れる様はちょっと不気味です、、、。(2015年春詠)