秋の蚊の必死こちらも必死なる

暦を見たら今日のところに「十方ぐれ入り」と書いてある。何のことやら分からないので調べてみた。十方暮 : 民間暦で甲申(きのえさる)の日から癸巳(みずのとみ)の日までの一〇日間をいう。この間は天地陰陽の気が和合しないで、十方の気がふさがり、万事に凶であるという。 [国語大辞典(新装版)小学館 1988] という事らしい。ご用心、、、。(2014年秋詠)

一枚に水口二つ落し水

県北では、早い所ではお盆過ぎには田圃の水が落され、八月の終わりには稲刈がはじまる。今年も、台風15号が来る前ぐらいだったか、棚田百選の棚田で稲刈が始まったとTVのニュースで流していた。毎年この時期になると流れるニュースだが、ニュースの映像に登場されるのは毎年同じ方のような気がする。きっと「他所よりも早く」を一つの目標にされているのだろうと思う、、、。(2014年秋詠)

二百十日生まれ育ちし晴れの国

はい、九月になりました。二百十日です。何度も同じ事を書きますが、今年は台風が多いですね。その度に、岡山県に住んでいてホントに良かった、と思うのです。それがすなわち危機感の無さに繋がるのでしょうが、ありがたいことです、、、。(2014年秋詠)

名園に土橋石橋うす紅葉

ひょんな事から、国勢調査の調査員になってしまいました。その講習に市役所へ行ったついでに衆楽園へ寄ってみました。午後4時過ぎの衆楽園には数人の人影があるだけで、隣の高校のグランドから元気な部活の声が響いていました。衆楽園は大きな部分を池が占めていますが、その池の大部分に睡蓮が繁茂しています。ちょっと多すぎ、なんて事を思いながら池を一周して帰りました、、、。掲句は昨年の今頃、やはり何かのついでに寄った時の句ですが、その何かが思い出せない、、、。(2014年秋詠)

放屁虫一つかまして永らへる

我が家では、それぞれの部屋に荷造り用のクラフトテープが置いてあります。カメムシを見つけ次第、これに貼り付けてしまおうというのが家内の作戦です。とは言うものの、いざとなれば慌てて、そのテープを置いた場所を思い出せずに右往左往しています。そのうち、うまく逃げおおせたのが、掲句のカメムシ、、、。(2014年秋詠)

競ふほど高きに秋の百日紅

さすが百日紅と言うだけあって、夏に咲き始めたサルスベリの勢いは秋になっても止まらない。奔放に伸びた枝が屋根の上に大きく覗いている木がある。サルスベリはどちらかと言うと、庭木としてきちんと造られたものより、こういう木のほうが見ごたえがあって好きだ、、、。(2014年秋詠)

日翳れば夕風やさし稲の花

稲の花は県北ではもう少し前の景になります。日が出れば夏、日が翳れば秋の夕景となる頃、散歩に出る時刻の選択が難しいのです。曇っているからと油断して早めに出ると、とたんに太陽が顔を出してひどい眼に遭ったりします。アスファルトも犬にはまだ熱いだろうとの親心もあります。が、犬のほうはそんな事はお構いなしで、「いつでも行けるよ」という顔をして、こちらを見続けています。そうは行かない、、、。(2014年秋詠)