秋燕の残る一羽に空広く

掲句は昨年の秋燕、今年は七月の豪雨後に急に燕の姿を見なくなった。さっさと帰ってしまったのか、豪雨の無いところへ引っ越して行ったのか、見かけるのはごく少数。例年ならまだ多くの燕が見られる頃です、、、。(2017年秋詠)

秋燕の集ひて旅へ羽慣らす

今年の天候はどうもおかしい。これでは燕も旅立ちを迷うのではないかと思っていたが、気づけば燕もずいぶん数が減っている。先日も朝の電線に多くの燕が止まり、周囲をこれまた多くの燕が舞っている姿があった。その電線を前夜の宿にした旅の途中の一団なのだろう。長旅ご苦労様、無事に南の島に着くことを祈るのみ、、、。(2014年秋詠)

秋燕空高ければ高く飛ぶ

現住所に住み始めた頃のこと、道路を隔てて大きなとうもろこし畑がありました。酪農の飼料用のとうもろこしです。夕方会社から帰ると、その畑に何百という燕が集まって騒いでいるのです。それぞれのとうもろこしの木に、撓むほどの燕が止まっています。まだ空を舞っている集団もあります。おしゃべりと羽音と、その日は夜遅くまで賑やかでした。それが翌朝には跡形も無く(とうもろこしには白い糞の跡がありましたが)居なくなっているのです。南に帰る燕のお宿だったのですね。そんな日が二三日続きました、、、。二年ほどして酪農を辞められて、とうもろこし畑は無くなってしまいました。燕のお宿も変わったのでしょう、同じような光景を見ることはなくなりました、、、。(1999年秋詠)