長い人生の中で日常的に歩道橋を渡る暮しはしたことが無かったのですが、今は岡山の句会へ行く度にやむを得ず歩道橋を渡ります。隣にある公園のポプラの、ちょうど蝉が鳴いている高さになります。歩道橋の中央で、下を走る車の群を見るのも面白いですが、これも長い間見ていると、ちょっと勘違いされそうな気がしますね、、、。(2014年秋詠)
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蝉の声アツシアツシと聞えけり
前にも書きましたが、県北にはクマゼミはいません。その代わりがアブラゼミです。クマゼミの声に比べるとるとアブラゼミの声なんて可愛いものです。掲句はクマゼミ、昨年夏の暑い倉敷吟行でした。クマゼミの声も、ついこんなふうに聞えてしまったのでした、、、。(2014年夏詠)
鳥と蝉朝の早さを競ひけり
(2013年夏詠)
ドア開くや阿鼻叫喚の蝉の声
(2013年夏詠)
狂ひたる蝉一晩を鳴き明かす
我家の庭からも毎年何匹もの蝉が出てくる。時たまこういう蝉がいる。暑くて眠られない夜が、よけいに眠られなくなってしまう。困ったものだが、かと言って夜中に庭に出て昆虫採集も出来ないし、もんもんとして朝を迎えることになる、、、。(2008年夏詠)
蝉鳴いていよいよ暗し杉木立
今年の初蝉は七月六日でした。いつもの散歩道の桜並木の土手です。もう梅雨が明けますね、というのが毎年この土手で聞く蝉の声ですが、その通り七月八日に梅雨が明けました。掲句の杉木立は別の場所ですが、土手の桜並木もこの時季は結構暗いです、、、。(2003年夏詠)
犬の鼻触れて落蝉生き返る
散歩していると落蝉に出会う。落ちたときのひっくり返った姿のままで力尽き、やがて静かに死を迎えるのだろう。そんなところに犬の鼻が近づいて来るものだから、蝉はおちおち死んでも居られない。息を吹き返した蝉はジジジジと激しく鳴きながら、またどこかへ飛んでいった。(2010年秋詠)
ドップラー効果蝉音の下行けば
ピーポーピーポーと救急車が近づいてきて、目の前を通り過ぎると途端にピーポーの音の高さが変わりませんか。あれをドップラー効果と言います。近づいてくる物から出る音は高く、遠ざかる物から出る音は低く聞えるのです。蝉音にドップラー効果なんて在る訳はありませんが、ニイニイ蝉の鳴いている木の下を通ると、そんな気がしませんか。(2011年夏詠)