ちょっと息抜きです、、、。(2012年夏詠)
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炎昼や翼あるもの羨まし
暑い暑いと言っても始まらないが、なんでこんなに暑いんだと見上げた空に鳥の姿がある。涼しそう、と思うのは人間の無いものねだりで、実際はそれなりに力も要って必死に飛んでいるのかも知れない。それが証拠に鳩は噴水のそばに寛いでいる。いや待てよ、鳶はどうだ、上昇気流に乗っかって舵を取っているだけではないのか。汗を掻いているようには見えないぞ。なんて、しょうもない事を考えながら、岡山駅前のベンチに時を過ごした、、、。(2013年夏詠)
紅薔薇やこの家に吾子の同級生
ちょっと遠出の散歩の途中で、長男の同級生の女の子の家があったことを思い出した。滅多に通らない場所で記憶があやふやになっていたが、確かこのあたりと目星を付けたお宅、玄関脇に立つ洋風の郵便受けの苗字は確かにそうだった。おとなしい子だったがその後どうしたのかなあと思いながら、きれいに咲いた紅い薔薇を眺めて帰った、、、。(2013年夏詠)
夏暁のチン!と隣家の電子音
眠くなったら昼寝をすれば良いか、と思えば早朝に目が覚めるのも苦にならず、五時には起き出す。夏至は過ぎたがまだ夜明けは早く、涼しくて動きやすい。自分の事を済ませ、犬の散歩を済ませ、簡単に庭の掃除を済ませた頃に、隣家から電子音が聞こえる、、、。(2013年夏詠)
風通る場所を上座の夏座敷
田舎の古い日本家屋は戸を開けておけば表から裏まで風は素通り、どこを上座にしても同じようなものだが、、、。(2013年夏詠)
黒南風や途切れ途切れに葬の列
梅雨の晴間の散歩の途中、田園地帯の一角にある墓地へ向う黒服の列があった。列ももう終わりのほうなのだろうか、二三人続いては間が開き、また二三人が話しながら続いていく、、、。(2013年夏詠)
片陰を出るに逡巡二度三度
と言うことで、涼しいところから出るには勇気が要ります、、、。(昨日の続きです)(2013年夏詠)
涼しさの集まる所椅子置かれ
まだ梅雨最中、晴れても気持ちよい暑さとはならない。昨日の蓮田、傍の道べりに休憩用のテントが一張りあった。とりあえず一休みと椅子に座ったら、ちょうどそこだけ、気持ちよい風が通っていた。土地の人の心遣いに感謝、、、。(2013年夏詠)
手に受けて空のくずれし蓮の露
蓮の葉も撥水性があり、葉も大きいので水がたっぷりと溜まる。空を映した大きな水玉を、そのまま手に受けようと思ったが無理なことだった、、、。久米南にある蓮田での句、木道は田の中まで続き、葉や花に埋もれるような感じがする。雨の日は葉に溜まった水が突然に零れて来るから要注意です、、、。(2013年夏詠)
出水禍の電車ゆつくり橋渡る
線路脇に住んでいると、通り過ぎる列車の音がいつの間にか日々の生活のリズムに入り込んでいる。時々、掲句のようなことであったり、いつもは通ることの無い列車が通ったりすると不思議とそのリズムの違いに気づくものである。いつまでも続く通過音に気づくと、長い修学旅行列車であったり、ミステリー列車であったりすると旅心を誘われて楽しいが、、、。今日から七月、梅雨ももうしばらく続くだろう、、、。(2013年夏詠)