雲と雲交差する空冴返る

北から西にかけての空に真っ黒な雲が層になって押し寄せて来ている事があります。境目から東は普通の春先の雲です。層になった雲より高いようです。きっとあそこが天気予報の寒冷前線の境目なんだろうと素人としては思うのですが、違いますか、、、?(2022年春詠)

降りだして芽起こし雨となる予感

もう少し遅いのですがこの句を。昨日まで枯色だった枝先が一雨で色を変えています。河原の柳は緑色に、並木の紅梅は紅色に、庭の桜桃は芽を膨らませて薄緑です。楽しい季節ですが、庭の土には雑草の芽が先を競っています。そろそろ草取りに慣れておかないと、すぐにとんでもない事になります、、、。(2022年春詠)

まず一輪咲いて華やぐ梅古木

毎年咲くのを楽しみにしていた散歩途中の菜園脇にある梅の古木。老人の腰のように曲がった幹の先が地に着きそうで、そこからまた上に向いて新しい枝を伸ばして花をつける。毎年冬の間に周囲にあるもろもろの果樹と一緒に見事に手入れをされて、まさにプロの技と感心していた。それが今年はある時に跡形もなく消えてしまった。切株もなく、以前からそうであったように大地が広がっている。古木に何か事情があったのだろうと思う。残念だが、ある意味この片付け方も見事、プロの技だ、、、。(2022年春詠)

春光や建前の音よく響き

空が晴れて気持ちの良い春の朝、遠くから建前の音が聞こえてきます。木が木を打つ音です。屋根の上にはクレーンも見えています。春の光が満ち溢れて暑くも寒くもない理想的な日、春の間に何度出会えるのでしょうか、、、。(2022年春詠)

目の前を発ちてきぎすの眼の紅し

今になって考えてみれば、紅かったのは眼ではなく顔で、その中にギョロリとした眼が見えたはずです。なのに、なぜかこの瞬間には眼が紅いと思ったのです。急な羽音で頭の中の回路が誤動作したみたいです、、、。(2022年春詠)