枯葎突つ切つてある獣道

しばし休憩と車を止めた山中の道路脇の駐車スペース、その先はお決まりの枯葎、入ろうとは思わないが入れそうにもない。よく見るとその枯葎の下のほうにポッカリと穴が開いたようになっている。覗くと奥のほうまでトンネルのように続いている。獣道、穴の大きさからすると狐か狸だろうか。猪や熊ではなさそう、、、。(2022年冬詠)

枯葎何気なさげに獣道

道路沿いにある遊休地、何年も経つうちに草ぼうぼうになり、いつの間にか狐まで住みついているらしい。時々こちらに気づいて慌てて茂みに逃げ込む姿を目にすることがある。逃げ込んだのはこの辺りと探してみると、確かに枯草の間が少し広がっているようにも見えるが、はたしてこれが獣道なのかどうか。姿はもう無い、、、。(2019年冬詠)

枯葎風の音とも獣とも

時々こんな事があります。一瞬ドキッとするのですが、後何の音もしないので、やはり風だったのでしょうね。もしかしたら何かがジッと身を潜めてこちらを見ているかも知れない、なんて思うほうが楽しいのですが、我が愛犬は反応なし、、、。(2014年冬詠)

大虚子の句碑海を向く枯葎

「室戸」その8 「あれっつ、何かあったぞ」と車を止めて引き返すと、国道を挟んで海岸と反対側の少し奥まった枯葎の中に句碑が立っていた。「龍巻に添ふて虹立つ室戸岬」高浜虚子の句碑だった。句碑の向く先には竜巻も虹も無かったが、なるほどと思わせるような荒れた冬の太平洋が広がっていた。誰が置いたのか、句碑の下に小皿があり、中には落葉と一緒に小銭が数枚入っていた。周囲は手入れをされているふうもなく、生い茂った草が枯れている冬だから気づいたものの、きっと夏草の時期だったら気づかずに通り過ぎただろうと思えた、、、。(2011年冬詠)

枯葎ずどんと抜けて獣道

11月の句会へ行く途中に宇甘渓に寄り、後は例によってナビ任せで走っていたらとんでもない山の中に入ってしまった。不安になりながら走っていると、道端に軽トラが止まっている。ふと見た荷台に見覚えのあるものが転がされている。止まって少しバックして確かめると確かに猪だった。たぶん獲りたてなんだろう、荷台の縁を枕のようにして眠っているように巨大な猪が転がされていた。辺りを見回しても人の姿は全くなく、目に付いたのは軽トラについていたシルバーマークだけだった、、、。(2013年冬詠)