竹垣をこぼれ山茶花まつ盛り

昔、この地に引っ越してきた頃、近くに小さな造り酒屋がありました。高い煙突があって、表の広い入口を入ると染み付いたお酒の匂いがして、声をかけると奥から上品なお婆さんが出てこられる酒屋さんでした。ほどなく造るのを止められ、しばらく売店だけをされていましたがそれも止められ、古い建物を一掃して竹垣のあるしゃれたお屋敷が出来上がりました。思い起こせばその新しい家になったのも、もう十年以上前になるのです。奥へ奥へと路地に沿うその竹垣が少し崩れて間から内側の山茶花が零れ、、、。(2016年冬詠)

杣道や風倒木に冬朝日

山の中のお寺、駐車場脇に地図があって、国道に出る来た道とは違う道が書いてある。ちょっと冒険心が働いて走ってみたら行けども行けども山の中、何年も前に台風ででも倒れたものだろう、半ば苔むした大木に朝日が当たっている。大丈夫かなあ、引き返すにも車を回せるところが無いし。と、不安なままずるずる走っていると突然山が開けて一時停止の標識、やれやれ今回も無事だった、、、。(2016年冬詠)

川普請重機大きく人小さく

散歩の終点と決めている吉井川の井堰で工事が始まった。看板を見ると「水門開閉機器の更新」と書いてある。よくわからないが、土手から河川敷の公園を横切って河原までアクセス用の道が造られ、大きな重機が動いている。工事を見るのは好きで、叱られない程度まで近づいてしばし眺める、、、。(2016年冬詠)