雪の日は徒歩通勤と決めていました。会社までは20分ぐらいかかったでしょうか。会社のすぐ手前に高速道路のガードがありました。いつもの路地を抜けて国道を渡り、このガード下まで来て傘の雪を落すのです。雪にもよりますが、20分も歩くと傘には重いぐらいの雪が積ることがありました。それをバッサリ落すのも小さな楽しみでした、、、。(2002年冬詠)
投稿者: 牛二
七草やB定食に回鍋肉
「看板に”うどん”と書いてあるのに中華料理の店、ウエイトレスも中国人で、日本語があやふや、B定食を頼んだらA定食が出てくる。」というので、昼食を食べに行ってみました。確かに”うどん”の看板があり、出てきたウエイトレスは片言の日本語、迷わず「B定食」を頼むと、出てきたのは入口に出ていたサンプルの”B定食”でした。あれっ、別におかしくはないね、、、。ボリュームはあるし、味もそこそこ、結局気に入って四国にいる間は週に何回も通うことになりました。昼食時はいつもほぼ満席でしたが、夜に行くとほとんど客はなく、短髪の若い料理人が作務衣姿で賄いの夕食をとっていたりしました。これなら”うどん屋”でもいいか、と思いましたが、彼もしゃべるのは片言の日本語でした、、、。<阿南6>(2012年新年詠)
冬の道いつもどこかが濡れてゐし
県北の冬はこういう感じなのです。雪でも降ろうものなら、当分は残っているし、時雨であったり、霙であったり、乾かないうちに次が降ってくるのです。そして道は、いつもどこかが濡れているのです、、、。(2009年冬詠)
寒釣師映る姿も動かざり
昨年の暮から毎日、同じ場所で鯉釣をしている老人がいる。よく知っている人なので、挨拶をして釣果を聞いてみたいと思いつつ、人を寄せ付けない、水面の一点を見つめているその姿に圧倒されて、黙って静かに通り過ぎてしまう、、、。(2010年冬詠)
猪罠を閉めて迎ふる御慶かな
「知り合いの猟師に頼まれた」とかで、父が場所を貸し実家からほど近い所に猪罠が出来たのが前年のことです。猪が入ると猟師が来て処分し、場所代として肉を置いて行く、という段取りでしたが、ずい分入ったのでしょう、当時は帰省する度に猪肉を持たされました、、、。子どもの頃にも猪罠を見たことがありますが、その猪罠は、山の中の広場に太い丸太で砦のような囲を作った、何となく時代劇の一場面を見るような、子ども心をくすぐる代物でした。それに比べると現在の猪罠は、動物園の猛獣の檻のような、鉄製で冷たい無機質なものです、、、。掲句は正月で帰省し、気になって聞いた時の句、いくらなんでも正月から殺生はないよね、、、。(2001年新年詠)
六十に六十の顔初鏡
と、還暦を迎えた去年の正月には思いましたが、もう一年経ってしまいました。六十一の顔に格別の感慨は覚えませんが、やはりそこにあるのは、六十一の顔なのです、、、。(2012年新年詠)
縁起物ほどの御降ありにけり
愛犬もみじの楽しみと言えば食べることと散歩。どちらが大切かと言うと食べることで、食事の前に散歩に出ると、早々に切り上げて帰ろうとする。食事の後に出ると、小一時間かけて、隣の隣の町内ぐらいまでは行く。食事は決まった時間にしか貰えないが、散歩はうまくすれば連れて行ってもらえるからと、私が家にいる間はたえず狙っている。私が二ヶ月間四国に行っていた間はどうしていたかと聞くと、知らん顔して寝ていたというから、、、。さて初詣から帰って、二度目の散歩に出ようとしたらパラパラと御降があった。一応傘を持って出たが、傘を差すほどでもなく御降は終った。御降は豊穣の前兆と言うから、まあこれも縁起物で、多少はあった方が良いのだろう、、、。(2012年新年詠)
手相見の佳きことばかり初詣
明けましておめでとうございます。本年もかわりませずご愛読のほどをお願い申し上げます。もう二十年を越えますが、初詣は毎年真庭市の木山神社へ行きます。昔は吹きっさらしの本殿でお祓いを受けましたが、今は本殿の風除けはもちろん、立派な社務所が出来て、広い暖房の効いた部屋でお祓いの順番を待ちます。もちろん霊験あらたかです、、、。さて、石段を登りきったところにお店が並びます。その中に毎年同じ鯛焼の店が二軒出ますが、なぜか片方ばかりが繁盛して長蛇の列が出来るのです。もちろん我家も多いほうに並びます。焼き立ての鯛焼って美味しいですね、、、。でも、本当にこちらが美味しいかというと、ある時他の縁日で見かけたこの鯛焼のおっちゃんが、「ここはさっぱり、、、」といった顔で、しょんぼりと鯛焼をひっくり返していたので、まあなんとも言えません。近くには長蛇の列が、、、。(2011年新年詠)
つごもりの氏子が囲む大焚火
どこの神社にでもある風景です、、、。大晦日までお付き合い下さいましてありがとうございます。一年間は切らさずに、と思って書き始めたブログです。何度かトラブルはありましたが、皆様の励ましに助けられ、ぼちぼちゴールが見えてきたような気がしています。本当にありがとうございます。良い年を迎えられ、またお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。(2002年冬詠)
店奥の蕎麦打つ音も年の内
「そば切り」というのは備中地方の物なのでしょうか。そば粉十割で作る自家製だから、必然的に切れやすく、太さも長さもバラバラと言うのが「そば切り」でした。年越し蕎麦もこの「そば切り」で、肉はかしわ、野菜たくさんの煮込み蕎麦、子どもの頃にはたいして好きでもなかった味ですが、今となっては懐かしく思い出します。最近はお店で食べさせてくれるところもあるようなので、一度食べてみたいと思っています、、、。どちらかと言うと「うどん」派です、、、。(2010年冬詠)