内心「無理して来なくても良かったのに、、、」と思いながらも「大丈夫?」と声をかけてしまう、サラリーマンの性。2011年11月と言えば、四国への業務移転が決まり、既にその作業に入っていた頃でした。即ち風邪なんかひいてはいられない、体力勝負の毎日でした。今思えば、それも懐かしい思い出の一つなのですが、忙しかったなあ、、、。みんな元気にしているのだろうか、、、?(2011年冬詠)
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大根の白を積み上げ朝の市
昨日の漬物樽からの連想で大根の句を持ってきましたが、古い句でどこの朝市だったか忘れてしまいました。記憶にないということは、近くのスーパーか何かの朝市だったのかも知れませんね。積み上げられた白がまぶしい、、、。(1998年冬詠)
路地に置く漬物樽と冬菫
岡山駅西口近くの裏通りの風景です。浅い軒廂の下にプランターや鉢が重なるようにして並べてあります。その一角を、これも重なるようにして、プラスチック製の漬物樽が占めています。まだ漬けて間もないのか、重石と蓋の下の隙間に見えるビニールシートが新しそうです。プランターには冬菫が、これも植えられて間が無いのか、水遣りの跡が冬の日差しに、、、。(2012年冬詠)
しつかりと食べて太りて冬用意
10月も今日で終りです。そろそろ冬支度、先ずは皮下脂肪の貯蓄から、、、。(2010年秋詠)
背表紙に残る金文字日脚伸ぶ
たぶんこの頃からだったと思います、古本市で沢山の本を貰ってくるようになったのは。古本市も今は図書館の入っているビルの一角でこじんまりと行われますが、当時は商店街の空き店舗を何ヶ所も使った、町おこしのイベントでした。一年で読み切れないほどの本を貰っていました。そんな中の一冊です。何の本だったか忘れてしまいましたが、昔の本の装丁にはずいぶん凝ったものがありました。書き手が一流なら、装丁をする方も一流。古本の黴っぽい匂いの中で、剥げかけた背表紙の文字を眺めていると、それだけでいっぱしの文士気分になれるのです、、、。(2003年春詠)
霜枯の野に新しきけもの道
毎日散歩しているのに、突然にこんな道を発見することがあります。ほとんどが河原ですから、ヌートリアぐらいかなと思いますが、、、。(2008年冬詠)
朝日受く寒雲仏とも見えて
だいぶ日の出が早くなってきて、散歩の時刻にちょうど赤く染まった雲が見えるようになった。太陽はまだ山の向こうで、山は暗く、その上空だけが輝いている。そんな中で赤く染まった雲が、まるで仏像のように見えることがある。輝いた空がちょうど光背のようになり、なんとも神々しい姿に見えるのである。(2012年冬詠)
ピアニカを片手に少女春隣
ピアニカが小学校に導入されたのはいつだったろうか。私の時代はまだ普通のハーモニカだった。ほどなくピアニカに変わったように思うが、記憶は曖昧。ピアニカは商品名、正式名称は鍵盤ハーモニカと言うが、俳句で使うには字数が多すぎる。ピアニカでご容赦を、、、。掲句、少女がピアニカを演奏していたわけではなく、駆けていく少女の片手にピアニカがあっただけ。今時珍しく弟を連れて毎日走り回っていた女の子、少し成長したのかな、最近は見かけることが少なくなった。(2010年冬詠)
待ちきれぬ土竜の起こす冬の土
いよいよ春が近づいてきましたが、土竜は新年になるともう活動を開始していて、田圃の中や公園の芝生に、その跡が見られます。管理する立場ではやっかいな動物ですが、春を待つ身にはうれしい春の足音の一つですね。(2010年冬詠)
寒鯉をゆるべてすくと老釣師
今日は春を思わせる良い天気だった。かの老釣師、ちょうど立ち上がったところに出会ったので話しかけてみた。「釣れますかあ?」「ぼちぼちなあ、60センぐらいあったかなあ」(60センは60Cm)「この前は90セン、提げたら尻尾が地に着いてなあ」「釣れたら楽しいですねえ」「冬じゃからなあ、11月から10匹ぐらいは釣ったじゃろうか」「へえ~10匹もおっ」「全部ゆるべてなあ」(ゆるべる=放す)<老釣師、放す仕草>、、、。10匹もとは言ったが、考えてみると90日で10匹ということは、9日で1匹、あとの8日は冬の岸辺にじっと座っておられるわけだ、、、。(2012年冬詠)