物憂げに少女が一人暮の春

散歩途中で見かけた物憂げに河原を歩く少女。たぶん近所の少女と思うが、そうだとすると知らない間にずいぶん成長したものだ。水色のランドセルで、「おはよう」と声をかけると蚊の鳴くような声でうつむいたまま「おはよう」と返してくれたのは一年生の時。愛犬もみじに「触ってもいい?」と聞いてきたのはいつだったか、、、。(2024年春詠)

街騒の音の後に暮の春

石段を上り振り返ると遠くまで甍の波が広がっている。車の音、クラクションの音、途切れることのないざわめきが街の底を這うように聞えて来る。あふれる日差に甍は光り、その向こうにある山は半ばかげろうように見えている。明らかに夏は近い。阿智神社にて、、、。(2017年春詠)