横断の毛虫に広き道の幅

毛虫もいろいろ。掲句は束子を小さくしたようなよく目にする毛虫。一生懸命道路を渡って行くが、人間の足やら車のタイヤやら危険は多い。調べてみると人間には全く害の無い毛虫らしい。それが分ってからはやさしく見守ることにしている、、、。(2022年夏詠)

窓開けて組合事務所柿若葉

これも思い出して詠んだ句です。会社の敷地の端っこにプレハブの組合事務所がありました。ちょうどその窓の外にあった柿の木、組合事務所は床が落ちそうな、戸の開け閉めにもテクニックが要るような古びた(おそらく中古の)プレハブでしたが、柿の木はまだ若い木でした。メーデーの頃に窓を開けるとちょうど目の前にある若葉がきれいでした。たぶん誰かが食べた柿の種から育った若木だったのでしょうね、、、。(2022年夏詠)

初夏の空に大きく軍用機

だいぶ前に見た景、ウクライナと重なってふと思い出して詠んだ句です。大きな音がして低い位置を飛んでいく軍用機、ほんのわずかな時間の出来事でしたが驚きました。通常のコースを外れて飛んだとか、衝撃波で農家の納屋が壊れたとか、後になって聞きました。本当の戦場ならこんなのんびりした情報では済まないですね、、、。(2022年夏詠)

目玉焼き落してジュッと広島忌

去年はたまたま目玉焼きを作っていてこんな句になりました。私が子供の頃は平和学習もなく、この日を意識する事はありませんでした。意識し始めたのは俳句を始めて季語としての原爆忌、広島忌を知ってからです。それからは忘れた事はありません、、、。(2021年夏詠)