水神の祠苔むす滝の道

ちょっと耳にして、こんな所に滝があるのかと入って行った山道。どんどん道は細くなり、車がすれ違うのも困難になって来る。どうやら道を間違えたらしいと思い、車を止め外に出ると水音!剥げかけた看板!そこからさらに細い脇道を入ったところのようだった。やれやれ、あぶなく引き返すところだった、、、。(2016年夏詠)

珈琲の香にゆらぎけり夏暖簾

暖簾のかかる入口の引戸は開けられ、奥へと黒く土間が続いている。そこが一番涼しいと知っているのだろう、入口の脇には犬が寝そべっている。淹れ立てのコーヒーの香に誘われるように風が入って来て、暖簾がゆれる、、、。(2016年夏詠)

前をゆく百足の足と人の足

昨年の倉敷での句。ふと見ると観光客に紛れるように百足がせっせと足を動かしている。あの足、でたらめに動いているようで、よく見ると順番に整然と動いている。ところでこの足、何番目と何番目というふうに意識して動かすことができるのだろうか、、、?(2016年夏詠)

消え残る山の街灯梅雨深し

国道429号線の、なんでこんな所に(?)と思うような人里離れた山道に一か所だけある街灯です。小さな谷川沿いで両側から鬱蒼と茂った山が迫っています。雨に濡れた山道が照らされて、なかなかの風情、、、。(2016年夏詠)

ちよつと来ぬ間の更地実梅落つ

いつもの散歩コースから外れた住宅街、小さな平家があって、その家と同じぐらいの広さの庭はターシャテューダの庭のよう。それが久しぶりに通ると、家も庭も無い!残された梅に木から実が落ちている。それが昨年の事、今年はそこに新しい家が建っている。家は同じように平家だが、屋根にはソーラーパネル。庭はまだ無いが水やり用の水道にはしゃれた蛇口が付いている。ターシャテューダの庭にはなりそうにない、、、。(2016年夏詠)

蛇死してベルトのやうに道にある

一瞬ベルトが落ちていると思ったのですが、本革のベルトではなくて、本物の蛇がベルトを放り投げた時のような丸い形で死んでいるのでした。蛇が死んでいることは珍しくないのですが、とりあえずは観察、、、。(2016年夏詠)