トラックを除け春泥を一跨ぎ

散歩の途中にわずかに残る未舗装の道路。よりによってこんな所で近づいて来る大きなトラック。道路脇へ一歩避けようと上げた足の下に深い轍、慌てて降ろそうとした足をさらに向うへ運ぶ。アブナイアブナイ、あのまま降ろせば泥の中だった、、、。(2020年春詠)

遠く鳴る始業のチャイム揚雲雀

仕事を辞めて十年目、揚雲雀の声を聞きながら朝の散歩をしていると、風に乗って遠くの会社の始業のチャイムが聞こえてきます。曲は聞きなれたウエストミンスターの鐘、どこの会社ともわかりませんが微妙に懐かしい響きです、、、。(2020年春詠)

古硝子の外に風あり柳の芽

倉敷美観地区の観光案内所、古硝子の窓の向うに川沿いの柳の木が見える。風があるのだろう、微妙にゆがみの見える古硝子に合わせるように向うの柳の芽が、これも微妙にゆがみながらゆれる、、、。(2020年春詠)

連なりし山の遠近春の雪

寒いと思って北を見ると山に雪があります。冬と違うのはその量です。山の頂あたりに少し、それも県境あたりの山だけに見えます。小学生の頃に習った中国山地です。山脈と山地の違いがよく理解できなかったのですが、それがやっと分かるようになりました。連なっているように見えて実は遠近のある独立した山々なのです。だから同じぐらいの高さに見える山でも遠くの山にだけ雪が見えるのでしょうね、、、。(2020年春詠)