動体視力のなせる技でしょう。花の後の桜並木を器用に燕が抜けて行きます。とは言うものの、確かに燕の数は減っているような気がします。まだ四月ですから、これから増えてくるのかも知れませんが、、、。(2015年春詠)
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この土が好きと田圃のつばくらめ
と言っているように聞こえるのです。元気で巣作りをして欲しいものです、、、。(2015年春詠)
神在ると風の騒ぎて春落葉
神社の杜です。高い木の上を渦を巻くように風が吹いて、バラバラと落葉が降ってくる。春に降る常緑樹の落葉は重いせいか音も大きい、、、。(2015年春詠)
あれもこれも咲いて四月の山となる
山桜の間にもう少し濃い色が見えて、ああ山つつじだと思っているうちに、今度は薄紫の藤の花が見えだした。そうこうしているうちに白い花も見えて来る。朴の花かも知れない。四月の雑木山のなんと賑やかな事よ、、。、(2015年春詠)
起されし田より始まる轍かな
そろそろ田起しが始まりました。いつもどこかでトラクターの音が聞こえているような気がします。トラクターは一枚の田が終わると次の田へ、道路へ出て大きなタイヤの溝に詰まった土を落としながら勢いよく走っていきます。しばらくはその跡がくっきりと残ります。起されたばかりの田の土の匂いは新鮮で気持ちが良いものです、、、。(2012年春詠)
朧月しだいに部屋を覗きこむ
今日が旧暦十五日、大きな朧月が見られると良いのですが。部屋の窓へ次第に顔を出す春の満月に、なんだか覗かれているように感じた時の句です。これに目鼻を描けば、そのまま童話の絵本のよう、、、。(2015年春詠)
うららかや巫女のそろへる赤鼻緒
阿智神社の巫女さんです、、、。(2015年春詠)
鳥の声やめば蛙が雨来ると
天気予報は晴れですが、今日は穀雨です。雨は良い事もあれば悪い事もあります。地震の後の壊れた屋根を雨に備えてブルーシートで覆う作業を見たりすると、つくづくと屋根のある暮らしをありがたく思います。何か自然に人間が試されているような気さえしてきます、、、。(2015年春詠)
鶯の疲れ知らずよ鳴きどおし
山道を登っていくと、こちらの疲れとは逆に、鶯の声は元気を増していくような気がします。久しぶりに山道を登り、間近で鳴き交わす鶯の声を聞いたのは、昨年、備中松山城への登山道での事でした、、、。(2015年春詠)
すかんぽや野に忘られしヘアバンド
滅多に子供を見る事も無い田舎です。ましてその道端に子供用のヘアバンドが落ちているなんて事は奇跡に近いのではなかろうか。そのまだ野の色に馴染まない赤色の眼に鮮やかだった事。周囲を見渡してもどこにも子供の姿は無く、さてどうしたものかと考えたが、結局そのままにしておいた。ヘアバンドは何日たってもそのままで、やがて鮮やかだった色も野の色に馴染み、草も伸びて視界から消えて行きました、、、。(2015年春詠)