廃屋の裏を覗けば烏瓜

ここに引っ越した時にはもう住む人が居なかった近所の家、立派な農家の建物で、時々は戻って来られるらしく人の姿を見る事もあった。それからもう三十年、新築だった我が家も古びてしまったが、この近所の家はとうとう今年崩れてしまった。掲句は昨年、表よりももっと傷んだ家の裏で唯一華やいだ色を見せていたのが烏瓜の赤だった、、、。(2015年秋詠)

烏瓜やつと夕日の色となる

烏瓜が色づき始めました。色づくまでは全く存在感のない烏瓜ですが、色づき始めると途端に存在感を増してきます。他の植物がしだいに衰えて行く中で、夕日の色と良い勝負をしています。秋の深まりを感じます、、、。(2015年秋詠)

獣道烏瓜にて行き止る

整備された河川敷公園と吉井川の岸辺との間にさらに茂みがあり、草や木が茂っています。もちろん公園が出来た時にはここもきれいだったのですが、どんどん木や草が大きくなり、今では人間が踏み込むには茂りすぎた状態です。そんな所にある日突然出来た獣道、水辺までちょうどトンネルのような感じで草を分けて続いている。その向こうに水面と、上の木の枝からさがった熟れた烏瓜が見える。たぶんヌートリアの専用道路でしょう、、、。(2014年秋詠)

烏瓜夕日あまねく野を照らし

烏瓜は晩秋になると途端に存在感を増してくる。それまでは葉の色も薄く、花もモヤモヤとした白で、ひそかに成長を続けている。それが晩秋になり、他の植物が衰えを見せる頃になると、突然現れたように赤く熟れた実を見せるようになる、、、。(2013年秋詠)