五月になりました。会社勤めの頃は五月の連休が楽しみでした。職を辞して毎日が休みになってみれば、別にどうって事はないなあ、、、。掲句、休日のちょっと遅めの散歩で見かけた風景、玄関先で遊ぶ子を見ることも少なくなったなあ、、、。(2013年春詠)
ザックリと刃の音やはし春キャベツ
プールで泳いだ後にジャグジーに浸かりながら盗み聞きしたおしゃべり三人組の話では、春キャベツは玉になり難いらしい。だから「巻かなくても少し伸びたら採って使うんで」と言っていた。そういえば我家の三本のキャベツも葉っぱばかり大きくなって、いまだに玉にならない。今ここから覗いてみると、大きな葉っぱの上に今朝の雨が玉になって光っている。まあいいか、青虫の餌ぐらいにはなるだろう、、、。(2012年春詠)
蛙出てたちまち雨を告げはじむ
いきなり鳴きだして、「おっ!蛙だ!」と思うだけで、本当はもっと前に冬眠から起き出しているのだろう。何はともあれ、そろそろ草刈を始めなければと鎌を研いでいると、「ここに居るぞ」とばかりに大きな声がする。蛙が鳴くと雨とは言うが、当たるも八卦当たらぬも八卦、ぐらいが楽しい。ヤン坊マー坊の天気予報は終わってしまったが、こちらはいつまでも続くだろう、、、。(2013年春詠)
水門の水出るところ水草生ふ
倉敷酒津での句。水門の内側には喫水線よろしくびっしりと川蜷がついていた。こんな句を詠んだが、考えてみれば水門には水が入る水門もある、、、。(2009年春詠)
春の空鳶の翼の日に透けて
河原を歩いていると、いきなり大きな鳥の影が目の前を過ぎって驚かされることがある。見上げると意外な近さに翼を広げた鳶の姿があり、じろりと睨まれたりする、、、。(2013年春詠)
けむり立つ城の裏側花は葉に
花時の終わったお城山を裏側から見上げると、ごみを焼いているのだろう、そびえる石崖の上に煙がひとすじ上がっていた。石崖の縁に見えていた雪洞は既に無く、桜の木は花から葉へと一斉に色を変えつつあるのだった、、、。(2012年春詠)
塀越しに見ゆる家紋や桃の花
古い街道脇の立派な土塀の上に桃の花が鮮やかな色を見せている。古そうな家だなと思いながら、塀の上から覗いてみると、玄関の長押のところに大きな家紋が見えた。玄関の家紋はそれまでに見たことの無い光景だったが、土塀、桃の花、家紋の取り合わせがいかにも日本的で印象に残った、、、。(2012年春詠)
芝青む人の通はぬところより
書こうと思っているうちに芝青むの時季は過ぎてしまいましたが、芝って強いですね。踏まれても踏まれても、アスファルトの舗装の下になっても、やがてアスファルトを割って芽を出してくるのですから、、、。(2013年春詠)
川渡る風に道ありつばくらめ
鶴山公園の東を流れる宮川は両岸に遊歩道が整備されており、昼間は少ないですが時々散歩している人を見かけます。上手に稲荷橋、下手に大橋の二つの橋がありますが、面白いことにその中ほどの川の中に飛び石が配置されているのです。水が出れば渡れませんが、そうでなければ、昔に戻ってちょっとスリリングな気分が味わえますよ、、、。掲句はその宮川の上を飛ぶ燕、見ていると何度も同じコースを通っている。きっと空にも飛びやすい所があるのだろう。風が心地よい、、、。(2012年春詠)
苜蓿に座して男の手弁当
これは通りがかりに見かけたベテランの男性の昼食風景、道路工事の現場に続く土手のクローバーにどっかと一人腰を下ろし、大きなランチジャーの弁当を広げていた。風が気持ちよさそうだった、、、。(2012年春詠)