焼こうとして焼いた野も不注意から焼けた野も、焼けてしまえば皆同じで、しだいの見慣れた風景になって行く。毎年この時期になるとそんな野が増えていく。まだらになった野に動いているのは二羽の鳩だった。番だろう、付かず離れず、まるで保護色のように焼けた野に溶け込んで動いていた、、、。(2013年春詠)
投稿者: 牛二
山頂へ車登れず山笑ふ
例によって知らない山道を走っていると、ふと見た山上に建物とパラボラアンテナが見える。なんだろう(?)行ってみるかと、ちょうど走っていたところが麓の舗装された新しい道だったこともあって、そこを目指すことにした。ナビを見てもそれらしい建物は無く、そのうち上り口があるだろうと思っていたが、一向にそれらしいところが無い。そうこうしているうちに上りだった道は下りになり、気が付けば国道まで出てしまった。まあこんなもんだろう、、、。(2013年春詠)
薄氷に粉砂糖ほど春の雪
傷んだ舗装路に出来た水溜りに氷が張っている。その上だけにうっすらと雪が、ちょうど粉砂糖をまぶしたように残っている、、、。これがもう少し寒くて雪がもう少し多いと、氷の所在が見えなくなる。こうなると危ない。無意識に載ったとたんに支点を失ってひっくり返り、後頭部を強打することになる、、、。(2013年春詠)
ペコちやんに声かけ男うららけし
酔っ払い?かも知れない。ただただペコちゃんの大きな人形が懐かしい、普通のおじさんだったのかも知れない。岡山奉還町での景、、、。(2013年春詠)
早春の菓子舗の前の風甘く
いかしの舎から早島公園に向かう途中に小さなお菓子屋さんがある。そのなんでもない街の、なんでもない小さなお菓子屋さんから、甘い匂いが風に乗って漂って来た。寒風の中を漂ってくるうどんの出汁の匂いもいいが、早春にはやっぱりこのほうが合っている。ということで一句。うぐいす餅かはたまたいちご大福か、、、。(2014年春詠)
地に人の梢に鳥の春の声
去年の二月の句会は早島の「いかしの舎」だった。前日に降った雪が随所の残る県南では珍しい日だった。吟行は不老の道を通り、裏から早島公園へ上った。頂上近くの広場がゲートボール場になっていてお年寄りの賑やかな声が聞こえていた。広場の周辺には大きな木が多く、こちらには鳥たちが、こちらもお年寄りの声に負けじと賑やかに鳴いていた。雪の残る景色の中だったが、どちらもまさしく春の声だと思った、、、。(2014年春詠)
犬ふぐり一つが千にたちまちに
もう芽が出ていると思っていたらいつの間にか咲いているのが犬ふぐりですね。それも気づいた時には必ず周囲に広がっています。一度でいいから誰よりも早く、最初の一つを見つけたいものです、、、。(2012年春詠)
鬩ぎ合ふ風と太陽春寒波
こんな句も作っていました。私の場合、ついつい北風に負けそうになってしまいますが、もう少しですね暖かくなるのは、、、。(2012年春詠)
春光の眩しさに繰る雨戸かな
今は雨戸の無い家や、在ってもシャッターだったりするようですね。築三十年の我家は、いわゆる引戸タイプの雨戸ですが、材質は金属です。それをガラガラと近所中に聞こえるような音をたてて開け閉めするのですが、さすがに三十年も経つと戸車にもガタが来て、一筋縄ではいきません。知らず知らずに身に付いたテクニックを使っています。春は曙、何といっても開けたとたんに飛び込んでくる春の光は最高ですね、、、。(2014年春詠)
頭の中に我声のあり冴返る
そろそろ話題を戻そうと思います。去年歩いていてふっと掲句のような感覚にとらわれて、これって寒さで頭がどうにかなる前なんじゃあないかと思ったりしました。それで今年からはニット帽をかぶることにしました。ついでにネックウォーマーで鼻まで隠して、これで犬をつれていなかったら、ちょっとした怪しいおじさんです、、、。(2014年春詠)