見て通る他所の家庭菜園の白菜が、見るも無残なほどにやせ細って、畝に数本残されています。ちょっと可哀そう。あのまま枯れていくのかなあ。それとも薹が立って花が咲くのかなあ。白菜の花ってどんな花なんだろう。と、毎日見ているうちに今日で二月も終わりです、、、。(2013年春詠)
投稿者: 牛二
掃き寄せしごみの形に斑雪
春の雪がうっすらと庭の一部を白くしている。よく見ると白くなっているのは、前日に掃き寄せてそのままとり忘れたごみのある場所だ。ちょっとした温度差なのだろう、こうして見るとまんざら悪くないなあと、取り忘れたことは棚に上げて、しばし感心した次第です、、、。(2013年春詠)
遠汽笛春の音とも叫びとも
電車もディーゼル車もひっくるめて汽車と言ってしまう。一両だけでも列車だし、警笛ではなく汽笛と言ってしまう。ということで掲句、実際は警笛です、、、。(2012年春詠)
春炬燵涅槃の底の猫の声
涅槃と言えば大げさだが、春の炬燵の中でうつらうつらしているのは「すべての煩悩の火がふきけされて、不生不滅(ふしょうふめつ)の悟りの智慧を完成した境地」に居るようなものではないだろうかと思う、、、。(2011年春詠)
中州へと渡るすべなしきぎす鳴く
川は毎年少しずつ流れを変える。近くの吉井川も十何年か前の大水の時に、リセットされたように一度きれいになったが、その時に出来た細い流れが今では飛び越せない幅になり、淵まで形成して水鳥たちの格好の遊び場になっている。その向うに広がった中州は大きな柳の木までが成長し、ちょっとしたジャングルのようになり、四季折々の鳥の声が聞こえてくる。この頃は雉の声が、そろそろ恋の季節なのだろう、時折間の抜けたように聞こえてくる、、、。(2012年春詠)
春泥の乾きて車庫のトラクター
古くもなく新しくもない、と言った風情の住宅街だった。少なくとも見える限り通の両側は庭付きの普通の民家で埋まっており、農家らしい家など見当たらなかった。そんな中の通に面したシャッターの上がった車庫を覗くと、車ではなく大きなトラクターが入っていた。農家らしくない佇まいの家の車庫の中でトラクターは、「どうだ」と言わんばかりに、外車なみの存在感を見せていた。大きなタイヤには土が乾いていたが、、、。(2012年春詠)
ゆるびつつ小川は春の音となる
私の生活圏にはたくさんの農業用水があります。大きさも形状もさまざまですが、どの用水も春になればしだいに水量が増えてきます。それにつれて水音も明るく軽やかになって来る、と思うのは春を待っている私の心ゆえでしょうか、、、?(2011年春詠)
凍ゆるむ鍵穴さぐる指先に
寒いのにわざわざ歩く必要も無いのだが、出来るだけ歩いて通勤することにしていた。冬は寒かった。手袋をしていてもジンジンする指先を、バッグを持ち替えてはかわりばんこにポケットに入れた。会社へ着いてからがまた大変で、凍える指先で鍵を握り、正門、通用口と開けていく。そんな季節を越えてふと感じた春の到来、急いで中に入りセキュリテーのロックを外すと、これは年中変わらない機械の中のお姉さんの「おはようございます」の美声、、、。(2011年春詠)
春寒やゆつくり灯る水銀灯
倉庫の高い位置に水銀灯があった。暗い中でスイッチを入れると、水銀灯はゆっくりと明るくなっていく。明るいような暗いような、という表現が良いのかどうか、水銀灯には独特の明るさがある。点るまでの時間はわずかなものだが、そのわずかな時間が春先の薄ら寒さを増幅するような感じがするのだった、、、。(2011年春詠)
内臓の重たし眠し春の風邪
たぶん会社で仕事中に詠んだ句でしょう、こんな句が、、、。退職してプール通いを始めて2年が経過しました。学生時代の部活よりも真面目に通っています。おかげさまで退職前よりもずいぶん元気になりました。退職前はいろいろと衰えを感じることが多かったのですが、その多くはプール通いで解消しました。風邪もひかなくなったようです、、、。(2010年春詠)