犬は誰に教えてもらった訳でもないのに、上手にお産をします。プードルの生れたばかりの子犬は、ちょうど掌に乗るぐらいの大きさです。ビロードのような柔らかい短い毛に覆われて、耳は小さく頭にくっついています。目は短い皺のようです。身体の色は成長すれば変わる場合もありますが、だいたいは生れたときの色で決まります、、、。母親は人間でもそうですが、我子のために必死で面倒を見ます。親としての態度には、見ていて教えられることが沢山ありますが、いつまでたっても親は親、子は子、というところは犬も人間も変わらないようです、、、。(2002年夏詠)
カテゴリー: 2002
峰雲や父の手になる塩むすび
私は一人暮らしもしたし、料理、洗濯は苦もなく出来るが、父は全くやった事のない人だった。そんな父が家事を始めたのがこの年だった。もちろん理由があっての事で、以前から身体の具合が悪かった母が、とうとう無理が出来なくなったからだった。父は元々器用な人だったので、おむすびも多少大きいぐらいで、立派なものだった。母は、「味噌汁も作ってくれるんじゃがなあ、今までしたことがねえから、野菜を食べれんほど大きゅう切るんじゃ、・・・」と文句を言いながらも嬉しそうだった、、、。思えば長年尽してくれた母への、父の最初で最後の女房孝行だったようで、父が亡くなったのは翌年だった、、、。(2002年夏詠)
筒抜けにラジオ鳴らして三尺寝
通りがかりの新築現場での句です。ここに限らず、一人仕事の多い大工さんは、ラジオを友とされていることが多いですね。昼食後のつかの間をラジオを聞きながら三尺寝、不思議と時間が来ると眼を覚まし、、、。(2002年夏詠)
つばくらや軒端まで積む肥袋
田圃の中の道を徒歩通勤していましたが、純粋な農家はほとんど無く、数少ない農家らしい造りの家でした。納屋の軒下には肥料(と思われる)ビニールの袋が積み上げられ、表戸を開けた納屋の薄暗がりには絶えず燕が出入りしているのです、、、。時季的にはもう少し後の句ですが、初燕を見て思い出したので書きました。(2002年春詠)
春雨や木箱に太る中国菜
これも通勤途上で見かけた風景です。田舎だから土地はいくらでもあるのですが、わざわざ浅い木箱を使って、中央に濃い緑の葉を平べったく伸ばした野菜が一株、、、。(2002年春詠)
蔵街の大樽干せる日永かな
初めて句会に出たときの句です。今でこそ倉敷美観地区は行くことが多いですが、美観地区もこのときが初めてでした。倉敷川の流れや美術館前の人の数は今と変わらないと記憶していますが、その他はどうなんでしょう。とにかく夢中の一日で、覚えているところが少ないのです。この大樽もどこだったか、、、。(2002年春詠)
耕して十歩に満たぬ畝作る
通っているプールの二階がジムになっています。そのジムに通っている会社の先輩に時々会います。ずいぶん前に辞められた方なので、年齢も大分上だと思いますが若々しくお元気そうで、最初に声をかけられた時にはどなたか分かりませんでした。「どうされているんですか?」とお聞きすると、ジムと畑に通うのが日課だそうです。「広くはないんだが借りてね、楽しいよ、たいした物は出来ないけどね、、、」と活き活きと話されていました。それでという訳ではないのですが、私も今年は何か植えてみようと思っています、、、。(2002年春詠)
傘の雪ガード下まで来て落とす
雪の日は徒歩通勤と決めていました。会社までは20分ぐらいかかったでしょうか。会社のすぐ手前に高速道路のガードがありました。いつもの路地を抜けて国道を渡り、このガード下まで来て傘の雪を落すのです。雪にもよりますが、20分も歩くと傘には重いぐらいの雪が積ることがありました。それをバッサリ落すのも小さな楽しみでした、、、。(2002年冬詠)
つごもりの氏子が囲む大焚火
どこの神社にでもある風景です、、、。大晦日までお付き合い下さいましてありがとうございます。一年間は切らさずに、と思って書き始めたブログです。何度かトラブルはありましたが、皆様の励ましに助けられ、ぼちぼちゴールが見えてきたような気がしています。本当にありがとうございます。良い年を迎えられ、またお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。(2002年冬詠)
初雪や畝真つ直ぐに葱畑
葱畑も冬の季語ですが、確信犯ですのでご容赦を、、、。畑にも作られる方の性格が表れますね。きっちりと作られた畝に、きっちりと植えられた葱、それだけでも感心するのですが、それが初雪の白さの中で、よけいにきっちりとして見える。プロなんです、この方は、、、。今年の初雪は12月9日でした。10Cmぐらいは積っていたでしょうか。(2002年冬詠)