夏の空軍機並んて飛ぶことも

掲句は昨年の夏、大きい音に空を見上げると、明らかに軍機と思える機体が二機、低い位置をあっという間に西のほうへ飛んで行きました。普段この辺りを軍機が飛ぶことは無いのですぐ気づきます。ついこの間も、部屋の中に居たらそんな音が、、、。(2014年夏詠)

傘踊りほどに並びて梅雨茸

台風のさ中、お越しいただきましてありがとうございます、、、。二三日雨が続くと、何でもない道べりに茸が生えることがある。それも一度にきちんと並んで。まるで傘踊りの行列みたいだ、と思ったときの句です。さて、台風が過ぎればそろそろ梅雨明けでしょうか、、、?(2014年夏詠)

青田風捨田休田まんべんに

分け隔てなく吹いて、風はいいですね。おっと、台風は困ります、、、。河川敷の公園で階段の傍に自転車を止め、階段を上り下りしている人がいる。近所の人で個人的な付合いはないが、時々話しかけられて会話をする程度の人。年齢は私より少し上だが退職したのは同じ頃だった。見るからに元気が無い。挨拶の後で、「定年になって仕事を止めたら調子が悪りいなあ。あんたはどんななら?」と聞かれたので、相手に合わせれば良かったのだが、プールから帰ったばかりだったので、つい「快調!調子いいですよ!」と元気よく答えてしまった。ちょっとビックリした顔になって次の言葉が無かったので、慌ててプールのことを話して薦めたら、「定年を過ぎて、この歳になって、今更水に入ろうとは思わんなあ」との答が返ってきた。ホントは、「それがダメなんですよ!○×△□!」と言いたかったのだが、犬も待っているし早々にその場を離れた。振り向いたときには、自転車はもう自宅のほうへ向っていた、、、。(2014年夏詠)

雲にある風の名残や夏の月

掲句は昨年の夏台風の後の夜空です。被害がなかったからこそ詠めた句です。今年も台風が多いですね。台風11号の予報を見るとまるで直撃ではないですか!進路が気になるところです。夜空のほうは明日が新月、従って掲句のように夏の月とはいきません、、、。(2014年夏詠)

自転車の追ひかけらるる夕立かな

せっかく散歩に出てきたのに、見上げると真っ黒な夕立雲、早々に切り上げて帰路についた。我家が見える所まで帰り一安心した時に、向こうからやってくる自転車の白シャツの高校生の男の子が眼に入った。見る見る近づいたその子は、自分が夕立雲に追いかけていることを知っているのか、汗をかきながら懸命に自転車を漕いでいた。そういえば自転車で通学していた昔にはあったなあ、もう少しのところで降られて、、、、と思っているとポツポツしてきた、、、。(2014年夏詠)

甚平やいつの間に歳めされしか

用事があって人を訪ねたら甚平姿で出てこられた。その姿に一瞬「えっ?」と思ったが、確かに本人だった。確かに私より年上なのだから、それなりに見えても不思議は無いのだが、いつもの威勢の良い姿言動からはとても想像出来なかった。借りてきた甚平といったその姿は、どう見ても似合わなかった。家ではこうなのかも知れないなあと、内心可笑しくもあったが、普段通りに用事を済ませて、早々に失礼した。甚平も似合う人が着ると粋なんだがなあ、、、。(2014年夏詠)

真桑瓜床に転がる厨口

子供の頃はずいぶん食べました。と言うか、庶民の手の届くものと言えばこれが一番でしたね。掲句、たくさん頂いたが置き場所がなくて、床に転がっている真桑瓜です。瓜類は採れる時はまとめて採れるんですね、、、。(2014年夏詠)

警笛の尾をひく夜汽車星涼し

一転してこんな句を、、、。先日の夕方の西の空に明るく輝く二つの星が見えた。それもずいぶん接近していて珍しかった。木星と金星の接近で、ニュースによるとずいぶん珍しいことのようだった。これも夕空でずいぶん涼しそうに見えた、、、。(2014年夏詠)