頬白に啼きたき空のありにけり

寒いと思ったら霜が降りている。引き締まった空気の中で土手の桜並木は満開、その上に朝の青空が広がっている。ホオジロの声が聞こえる。少し離れた川の中州の大きな木のてっぺんに姿が見える。その声に応えるように、さらに離れた中州の木から声が聞こえる。どちらも気持ちよさそう、、、。(2017年春詠)

ヘリコプターの音の上なる花曇

春になると飛んでくるヘリコプターの数が増えると感じるのは単なる思い違いなのかも知れませんが、空から見る桜はきれいでしょうね。最近はドローンの映像とかで見る機会も増えましたが、でも実際に見るとまた格別なのではないでしょうか。いえ、そのためにヘリコプターが飛んでいるなんて思っているのではありませんよ、、、。(2017年春詠)

蛇穴を出でとりあへず日を浴ぶる

隣家は女性の三人暮らし、その隣家の前が騒がしい。どうやら蛇が現れたらしく、慌てて家の中に声をかけている。外の声しか聞こえないが、「何とかして!」「そんな事言ったって!」「見てないと家のほうへ来たらどうするん!」、しばらく聞き取れない声がして静かになった。先日の事、、、。(2017年春詠)

春旅の別れ出会ひを見る車窓

昨年の春、高速バスで久しぶりに大阪へ行きました。進学か就職か、まずは始発駅での深刻そうなお母さんとあっけらかんとした少女の別れがありました。途中のバス停では運転手さんに託して小さな男の子を旅に出す心配そうなお母さんの顔、そして終点ではその小さな子と迎えに来たおばあちゃんの嬉しそうな出会いの顔が。旅は楽しい、、、。(2017年春詠)