遠近のいよいよ確か春雪峰

毎日遠くに中国山地の山並を見ながら散歩します。真冬の大きく見える雪山も好きですが、春先の天気の良い朝に遠くの山だけが白くなっている風景も大好きです。それは春が進むに連れて次第に遠くの山だけが雪に染まり、それによって山並の遠近を立体的に捉えられるからです。夏の間は頭の中では遠い山とは分かっていても、見た目は一枚の絵のようなものですからね、、、。(2015年春詠)

如月や風に晒され貝の殻

旧暦では正月になったばかりで、如月には少し早いのですがこんな句を、、、。この貝の殻、実はカタツムリの殻なんです。そろそろ暖かくなるからと、しばらくほったらかしにして置いた庭の植え込みの下を掃除していると出てきます。中は空っぽ、色は晒されたきれいな白色をしています。貝は死して殻を残す、、、。(2015年春詠)

恋猫も恋の乙女も澄ましけり

西川緑道公園の一角に野良猫(と思われる)の多い所があります。先頭を澄まして行くのが雌猫でしょう。その後をつかず離れず追いかけて行くのが二匹の雄、気を引こうとしているのに、雌のほうは知らん顔で橋を渡って行きました。そのまま目を移した横の通りを若いカップルが、、、。(2015年春詠)

淡雪の旅の果なる地表かな

落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、落ちては消え、といつまでたっても積もらない春の雪を見ていた時の句です、、、。ちょうど昨日の雪、と言ってもこの岡山県北での話になります。昨日は雪から雨に、止んだ頃を見計らって散歩に出ましたが、軟らかい土の上は少しだけ白くなっていました。そのうち突然差してきた日差は春のもの、さらに自宅近辺まで戻って来ると再び雨が、と、忙しない天候ではありました、、、。(2015年春詠)

名前のみ残る城跡迎春花

黄梅(オウバイ)です。黄梅と書きますが実はジャスミン科だそうです。つる性です。中国名が迎春花、いい名前ですね、、、。この近くにも城跡があって、私の現住所の古い地名は「字小門」と言います。たぶんお城へ通じる道筋で小さな門があったところなのでしょう。城跡は小高い丘の畑の側に近年建てられた「構ノ城跡」と書かれた石柱があるだけです、、、。(2015年春詠)

犬ふぐり最初の一つ見つけたし

昨年の俳句手帖を見ると2月6日にこんな句を書いています。その数日後に見つけた句がありますが、残念、最初の一つではなかったですね。一つ見つければ周囲には次から次に見つかるのです。どうやら日差があれば咲いて、日差の無い日は花を閉じているようです。夕方も日が傾きかけると早々と花を閉じます。実は今年も日差があり暖かかった2月2日に見つけてしまったのです。今年もそろそろと書こうと思っていたのですが、昨日の散歩中には普通にいくつも、、、。(2015年春詠)

浅春の空気吸ひ込む鯉の口

プールで会う方に引退された元建材店の社長さんが居られます。一見ごく普通の腰の低い穏やかな方ですが、実は元空手教会のえらいさんだった方でもあります。いつも水中ウォーキングをされています。この方に限りませんが、隣のコースをクロールで泳いでいると、横を向いた時にちょうど歩いている方の水中の姿勢が眼に入ります。この元社長さん、他の方と一緒の時は話をしながらゆっくり歩かれていますが、一人の時は必ず空手の正拳突きをしながら歩かれているのです。それも姿勢よく、力強く、、、。(2015年春詠)