紫陽花や道幅狭き城下町

新しい広い道路を通れば良いのに、時々古い狭い道を走りたくなる。スピードを落として、左に寄って、電信柱の前で止まってすれ違う。左を見ると紫陽花、狭い場所にきれいに咲いている。あじさい寺の沢山の紫陽花も良いけれど、古い街中で見る紫陽花もまた格別、、、。(2023年夏詠)

通ひ猫来て待つ梅雨の勝手口

鳴く事をしない野良猫の雄、こちらが気づくまでひたすら待っている。気づくとうれしそうに寄って来るが触らせてはくれない。しょっちゅう大怪我をしていて、しばらく来ないとつい、もう死んだのかも知れないと思ってしまう。今回ももう二週間あまりになる。どこかで怪我を癒しているのなら良いけれど、、、。(2023年夏詠)

見上げたる屋根に隙間が梅雨晴間

梅雨に入りましたね。掲句は昨年、古民家の農家に移転した某蕎麦屋さんでの句。早く着き過ぎて、開店待ちの場所が長屋門の屋根の下、ふと見上げると天井の無い屋根裏の、瓦の隙間から空が見える。その日も雨、いずれ直すのか、これを良しとするのか、、、。(2023年夏詠)

滑空の低さ競ふか夏つばめ

雨上がりの河川敷の公園、よくまああんな低い所をあの速さで、と感心する燕の飛翔。天気が悪いと餌となる虫が低い所を飛ぶのがその原因らしいが、それにしても低すぎる。ちょっと羽の角度を間違えると地上に激突、なんて事をつい考えてしまう、、、。(2023年夏詠)