9月11日の句会から-3 さて、これは句会へ行く途中、国道53号線を走っている時に咲いていたコスモスです。かつては田圃だったところでしょう、ちょうど運転している眼の高さに、花だけが揺れていました。ふっと風の高さを感じていました、、、。岡山までは普通に走って1時間半ぐらいかかります。貴重な時間ですが、わき見運転ばかりするわけには行きません。出来るだけ瞬間的に見たことを記憶に焼き付け、信号待ちで手帳に書きとめるようにしています。いくつか重なって、信号待ちまでに忘れてしまうことも時々、、、。(2013年秋詠)
カテゴリー: 2013
朝顔のぽつと開きし空の色
9月11日の句会から-2 句会の日とは言え、欠かせないのが犬の散歩です。途中の土手に、毎年花を開く朝顔があります。もとは捨てられたものでしょう。花の大きさはだんだんと小さくなりましたが、夜明けの空のようなその青色は、むしろ澄んでいくような気がします。その朝顔が小さく咲いているのを見たときの句です。「ぽ」の口の形で、、、。(2013年秋詠)
鵙の声聞きてそれより眠られず
9月11日の句会から-1 句会は七句出句です。決まっている訳ではないのですが、出来れば当日句を出したいと思うと、朝の目覚めから無駄には出来ません。5時15分、この朝は鵙の声で目覚めました。ちょっと早いなあと思いながらの一句、、、。(2013年秋詠)
秋蝶となりて優しき翅づかひ
鳥が運んできた種で、庭には覚えの無い物が生えて来ます。山椒もその一つで、我家で一番大きな黒鉄黐(クロガネモチ)の木の下に、去年から芽を出しています。今年は三十センチぐらいに育ち、春から何度も使わせていただきました。夏の間は暑いので庭の手入れもお休みと決めて、山椒のこともしばらく忘れていました。秋になり、このところ旱続きで、庭が乾ききっています。山椒は大丈夫かなあと見に行くと、なんと、ほとんど葉っぱが無いではありませんか。そして代わりに丸々と太った揚羽の幼虫が三匹(山椒は揚羽の大好物なのです)。山椒は枯れるかも知れませんが、揚羽もたぶんこれが今年最後の幼虫です。仕方がないかとそのままにしてやりました、、、。だが、実はその近くに今年も何本か山椒の小さな芽を見つけているのです、、、。(2013年秋詠)
桃太郎生まれ出さうな桃かぶる
売り物にならないからと、桃を一箱いただいた。よく見れば形が多少いびつだったり、物に当った痕だろう、色が変わったところがある。それだけのことで、色と言い大きさと言い、我家で買う安物の桃なんぞよりよっぽど立派である。あれっ?これは大きさも立派だし、傷も無いようだが?ああ、なるほどこれか、まるでお尻、、、。(2013年秋詠)
千の稲万の葉先に露の玉
立秋、朝早く散歩に出ると青々と成長した稲の、それぞれの葉先に露の玉が光っている。早稲の田にはすでに稲穂も見えている、、、。(2013年夏詠)
朝の蚊に足裏刺されし悲しさよ
皆さんは足の裏を蚊に刺されたことがあるだろうか。なんとも情けない嫌な痒みなのです、、、。私の古い友人に、熊のように脛毛が濃い男がいました。どれくらい濃いかと言うと、血を吸おうとやってきた蚊が、もじゃもじゃの毛の中に絡まって出られなくなるのです、、、。(2013年夏詠)
ベビーカー押して大きな夏帽子
信号が赤に変わり、停まった車の前の横断歩道を、ベビーカーを押した若い女性が渡り始めた。つばひろの大きな夏帽子、スラックス姿で、前を見つめて確実な足取りでベビーカーを押していく。その姿には、はっきりと意思と自信が見て取れた。母親としての強さなのかも知れない。久しぶりに美しい母親の姿を見たような気がした、、、。(2013年夏詠)
草田男に採られし話水着着て
ロッカールームで着替えていると、先日登場していただいた老人が入ってきた。「つかぬ事を伺いますが、俳句をされるんですなあ」「ええっ、どうしてご存知なんです?」「いやあ、車のナンバーが819なんで、一ぺん聞いてみよう思うとったんです」「ああ、そうですか。何でご存知なのかとびっくりしました。はい、そうなんですよ。俳句、お好きなんですか?」「いやいや今はしようらんのですがな、若い時にね、長いこと入院したことがあったんですよ。それですることが無うて退屈なもんで俳句を勉強したんです、、、。一ぺんだけ中村草田男に採ってもらいました。”病院・・・ベッド・・・大昼寝(早口でよく聞き取れなかった)”だったかな。それがもう、うれしゅうてうれしゅうて、今でも忘れられんですなあ」とにこやかな顔で、心底うれしそうに話された。今は全くされていないようだが、またいろいろ聞いてみようと思う、、、。(2013年夏詠)
噴水のしぶきを鳩と分かちけり
岡山駅東口に桃太郎の銅像と噴水がある。先月の句会は暑い日で、銅像の台座にも、噴水のベンチ脇にも鳩がグッタリとして寝そべっていた。ベンチに座っていると、時たま風向きで噴水の飛沫が飛んできて、わずかばかりの涼風となった。桃太郎は暑さなど何処吹く風で、元気に手をかざしたままだった。<桃太郎犬猿雉と鳩も連れ 牛二>こんな句も出来たが、雉は春の季語だったなあ、、、。(2013年夏詠)