朝の散歩の途中、田圃二枚ほど離れた畦道でじっとしている猫がいる。「おーい」と呼ぶとこちらを見て怪訝そうな顔をしている。どこかで見た猫のようだったので「元気にしとるんかあ」と声をかけておいた。もちろん返事はなかったが、、、。その日の夕方、外で妻が何やら大きな声をしているので出てみると、一年ほど前に我家に居候していた猫が帰って来たと喜んでいる。えっ?まさか、と思ったが「ニャー」と声がしたところに居たのは、確かに朝の散歩の途中にいた猫だった。あれから一週間、強そうになって戻ってきたアメリカンショートヘアーの雑種の雄猫は、我家の物置の横でゆうゆうと身体の手入をしている、、、。(2013年冬詠)
カテゴリー: 2013
七五三待つ子が覗く社殿裏
本来の七五三は11月15日、すなわち今日なのですが、その前後でもよく見かけます。掲句は昨年の11月28日の作句日付、倉敷阿智神社です。同じ阿智神社で今年は10月23日に見ました。日が良かったのでしょうね、本殿では結婚式が、奥の若宮殿では七五三がと、神様も大忙しのようでしたよ。もちろん、その時の句もありますが、それはまた来年に、、、。(2013年冬詠)
百枚の落葉百態花水木
庭の木々も少しずつ落葉の時期がずれています。今はハナミズキが盛んに散っています。少し捩れた形の葉っぱはそれぞれが異なった形と色をしています。紅い中にまた模様があって、落葉の数だけ楽しめます、、、。(2013年冬詠)
パティシエの帽子の高し木の実降る
昨日は「明日から冬の句」と書いておきながら、よく考えたら「木の実降る」は秋の季語ですね。冬に詠んだ秋の句です。岡山の喫茶店での句会、最初は「冬木立」で出したのですが、皆さんからのもう一つとのご意見で、「木の実降る」に変えました。で、角川の俳句に投稿したところ、小島健さんの秀逸に入りましたよ!句友の皆さんのおかげです。句会の前、イトーヨーカドー付近での景です、、、。(2013年冬詠)
行く秋と思へば白き風の音
早いようですがやっと今日の日がやってきました。秋は思いのほか過去に詠んでいる句が少なくて、このブログを書き続けるのに苦労しました。明日から冬の句になりますので、またしばらくは大丈夫です。一日一句のなんと難しいことよ、、、。(2013年秋詠)
窓あけて雀翔たせる秋日和
追い払うつもりはありませんが、窓の外の屋根の上があまりに賑やかなもんで、つい開けてみたくなるのです。開けると一斉に羽音と声がして、飛び去って行きます。後に残るのは暖かい秋の日差です。再び閉めておくと、また三々五々、声が増えて来ますが、そう何度も開けてみるようなことはいたしません、、、。(2013年秋詠)
柿もぐや夕日冷たく手の中に
今年も西条柿は不作、三個だけが熟れています。少ないので吊るし柿にはなあ、と思いながら眺めているうちに、もう熟柿になりかけているような色です。富有柿のほうは今年は剪定のかいあって、数はほどほどに生っていますが、毛虫が多かったからでしょうか、出来はもう一つの感じです。まあ、どちらも主と同じで老木ですからねえ、、、。(2013年秋詠)
青青としてひつじ田でありにけり
昔はこうではなかっただろうと思うものの一つに収穫後の田圃がある。昔に比べると収穫時期が早まったからだろう、稲刈後の株から出た芽がこの時期までにずいぶん伸びて、ちょっとした青田のようになっている。中には既に穂が出ているところさえある。ひつじ田として歳時記に採録された頃は、おそらく弱弱しく伸びた芽が否が応でも寂寥感をさそう、晩秋の風景だったのだろうなあと思う、、、。(2013年秋詠)
連雀の木々を移れば声もまた
小鳥の名も知っているようで知らないことが多い。でもって歳時記に出ている小鳥からそれらしい連雀にしたが、ほんとうのところは分からない。昔、生垣の中に見つけた巣を雀のものと思って話していたら、野鳥の会の人がそれは鵙でしょうと教えてくれた。今ははっきり、鵙と雀は見分けられるが、、、。葉の落ちた桜並木にはいろいろな小鳥が来る。みんなでおしゃべりをするように鳴きながら木々を移って行く姿が愛らしい、、、。(2013年秋詠)
中天に残る眉月やや寒し
昨日に続きます。こちらは朝の散歩です、、、。(2013年秋詠)