車で少し走ると日本の棚田百選に選ばれた棚田が何箇所かあります。棚田ですから山の中です。次の棚田へ行くのも山の中です。そんな道を走っていて突然開けて、現れた大きな池。人影は全く無く、鳥の声がするだけの静かな湖面に、遅咲きの岸辺の桜が、鮮やかに映っていた、、、。(2013年夏詠)
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牡丹にビニール傘の一つずつ
毎年一度は近くにあるお寺の牡丹祭りに出かけるが、多くの牡丹を咲かせるのは難しいらしく、なかなか見頃に行き合うことがない。掲句は近所のお宅の牡丹、数株の牡丹それぞれに真新しいビニール傘が差しかけてあった。そぼ降る雨の中で、透明なビニール傘を通して見える紅い牡丹が何とも言えず美しかった。牡丹に雨傘を差しかけてあるのはよく眼にする光景だが、使い古しの傘ではこうは行かないだろうと思った、、、。(2013年夏詠)
夏に入る残されし田も捨てし田も
少し重い句で夏に入ってしまいました、、、。(2013年夏詠)
けむり立つ城の裏側花は葉に
花時の終わったお城山を裏側から見上げると、ごみを焼いているのだろう、そびえる石崖の上に煙がひとすじ上がっていた。石崖の縁に見えていた雪洞は既に無く、桜の木は花から葉へと一斉に色を変えつつあるのだった、、、。(2012年春詠)
家並の途切れ城山花は葉に
昨年の津山吟行での句。天気の良い日だった。城東へ向けて伏見町あたりを歩いていると、途切れた家並の間から鶴山公園が見えた。すでに花は散り、木々は緑を濃くしつつあった。皆さんおしゃべりをしながら、ゆっくりと歩かれる。大丈夫かと心配していると、いつの間にか佳い句をたくさん詠まれている。あと一週間、暑くなく寒くなく、今年も良い天気になれば良いが、、、。(2013年春詠)
拗猫の塀の上なる夕焼かな
少し戻って夏の句です。犬はひたすら従順ですが、猫は自己主張するから面白いですね。塀の上でそっぽを向いて知らん顔、拗ねると尻尾も動かさない、、、。(2009年夏詠)
川底に光る魚影や原爆忌
今年も原爆忌がやって来ました。記事は前倒しで書いていますので、実際のところの当日の天候はわかりませんが、私が八月六日を意識するようになってからというもの、なぜか晴天の日が多いのです。いつ意識するようになったかと言うと、恥ずかしい話ですが、俳句を始めて歳時記に「原爆忌」を見つけてからです、、、。生まれ育ったのはまだ実生活の中に戦後があった頃です。もちろん原爆の恐ろしさもくり返し聞かされた筈なのですが、記憶の中にはなぜか、ほとんど残っていないのです、、、。(2002年夏詠)
夏帽子拡げてもらふミニトマト
さて、どこで詠んだ句だったろう?こんな句が残っていた、、、。(2002年夏詠)
白よりも白き峰雲立ちにけり
本当の白さとはどんな色だろうと思うとき、夕日を受けて立ち上がる峰雲の白さが浮かぶ。白い雲の上にさらに白い雲が重なり、究極の白に近づいているように見える。では、雪の白さと比べてどうなんだろう、と考えてみるが、残念ながら峰雲と雪を並べて見た事が無い。雪の残る夏山に登れば見えるだろうか、、、。(2010年夏詠)
朝の蚊に足裏刺されし悲しさよ
皆さんは足の裏を蚊に刺されたことがあるだろうか。なんとも情けない嫌な痒みなのです、、、。私の古い友人に、熊のように脛毛が濃い男がいました。どれくらい濃いかと言うと、血を吸おうとやってきた蚊が、もじゃもじゃの毛の中に絡まって出られなくなるのです、、、。(2013年夏詠)