青梅や見れば空家の佇まい

通りに面した小さな庭の梅の木、見上げると葉と同じ色の青梅が沢山生っています。ふと昔を思い出して、覗くつもりは無いのですが庭の奥の縁側を見ると、どうやら空家のよう。昔は、梅の木の角を曲がったところがその家の表で、小さな田舎の雑貨屋さんになっていました。子供むけの駄菓子やおもちゃ、日用品があって、お婆さんが店番をされていました。角を曲がってみましたが、やはりもうお店はありませんでした、、、。(2021年夏詠)

水神の祠傾く夏の井戸

近くの神社にある古井戸。由緒のある井戸らしく古びた説明書きの看板が立ち、近づけないように柵がめぐらされている。だから覗いて見た事は無いが、形から深い井戸ではなさそうで、地表近くまで水がある雰囲気。傍の平べったい大きな石の上に、これも古びた小さな石の祠、石が傾いているから祠も傾いている。静か、、、。(2021年夏詠)

薫風や上着小脇に女子社員

散歩途中にある唯一の工場、既に業務が始まっている時間帯、パートの女子社員の出勤時刻なのでしょう、車から降りた事務服姿の女性が上着とバッグを小脇に急ぎ足で社屋に入って行く。事務服姿の女性を見るのもずいぶん久しぶり、なんだか新鮮、、、。(2021年夏詠)

真二つに切れて真白き蛇苺

草刈りの鎌が触れて真っ二つに切れた蛇苺の中は真っ白でした。蛇苺と言えば子供の頃には忌み嫌ったものです。毒性も無いのになぜでしょうね?蛇や蝮の出やすいところに生えるから大人たちが子供を遠ざけたくてそう教えこんだのかも知れませんね、、、。(2021年夏詠)