露草の僅かに残す星の色

カレンダーに赤い印があるので見ると、今日は山の日なんですね。昔はなかったなあと思いながら、毎日が休日の身の上には影響ないなあと、、、。先日墓掃除に帰省してきましたが、故郷の山は良いものです。313号線を走って多和山トンネルを抜け、高梁に下っていくと一気に山の雰囲気が変わります。故郷が近づいたことを実感する一瞬です、、、。(2015年秋詠)

盆僧の上がればすぐに鈴鳴らす

昨日は実家の墓掃除に行ってきました。毎年申し訳なく思いながら墓掃除をします。実家は空家なのでお坊さんは来られません。何かの時にお坊さんに聞いたら「お寺のほうで拝んでいますから大丈夫です」との返事で、以後安心しています。掲句は散歩途中に見かけたお坊さん、忙しそうでした、、、。(2015年秋詠)

風吹けばほろりと零れ芋の露

今年は旱続きで、散歩途中の畑の芋の葉も露どころではない風情、色も変わりしおれてきています。一雨欲しい所です。子供の頃は七夕も月遅れでした。ちょうど夏休み、短冊に願い事を書く墨を磨るために朝早くから芋の露を集めに行ったものでした。とうとう上達はしませんでしたが、そうして墨を磨ると習字が上達すると言うことでしたね、、、。(2015年秋詠)

会釈して笑顔の老女明易し

私の母もそうでしたが、女性の多くがご主人を亡くされて少し経つと、一時的に精神障害が起きるような気がします。たいていの場合は時間と周囲の気遣いで元に戻られるので、病人扱いせずに静かに見守ってあげるのが一番と思っていますが、近所のそんな女性の中の一人、普通の笑顔が返ってくるようになった日の句、、、。(2014年夏詠)

強きもの弱きを挫き旱かな

自然は厳しい。弱いものは容赦なく淘汰される。淘汰されたものは食物連鎖で次のものの餌となる。どうしてミミズは熱いアスファルトに出てくるのだろうと見ていたら、雀が飛んできて咥えて行った、、、。(2015年夏詠)

その一つ覗けば暗し蝉の穴

庭の木の下の乾いた土にぽつぽつと穴がある。それが蝉が地中から出た時の穴だと気づいたのは俳句を始めてから。小さな穴で覗くと暗い。すぐに曲がっているようだがまだ掘り返して確かめたことは無い。覗いてみたのは眺めていても句にならなかった時、、、。(2015年夏詠)