早くも十一月最終日、冬らしくなって来ましたね。掲句は昨年、田舎に帰って散策中に見つけた冬木の、てっきり枯葉と思っていた枝先の茶色の物体が、いきなり飛立って鳥だと気づいた時の句。飛び立たなければ枯葉のままだったのです、、、。(2022年冬詠)
月: 2023年11月
山門の外へも銀杏落葉かな
たぶん全国どこに行ってもありそうな景、掲句のお寺は法然上人の生まれたと伝わる久米南町の誕生寺、大きな銀杏の木です、、、。(2022年冬詠)
川ひとつ隔て喪の家帰り花
去年この句を残しているのだからもう一年になるのだろう。桜並木から小川を隔てた家のご主人がもう何か月も前に亡くなったと聞いた日の帰り花、、、。(2022年冬詠)
冬木切る鎌の一打に音一つ
当たり前のようだがこれがなかなか難しい。比較的柔らかくて、適度な太さ、こういう木をスパッと切ると気持ちいい、、、。(2022年冬詠)
小夜時雨からだ濡らして猫帰る
時雨が多い。朝起きると路面が濡れている、そんな事がしょっちゅうある。掲句は夜、出かけた猫が帰らないと思っていたらどこかで雨宿りをしていたようだ。止んだから帰ったのだろうが、草の中を通るものだから身体が濡れている、、、。(2022年冬詠)
冬霧の中トラックの眼が二つ
毎年の事ながら冬霧の深さには閉口してしまう。朝の散歩道が川沿いだから余計に深い。おまけに普段人が通る事が少ないから車のスピードが速い。霧の中から近づくヘッドライトを見ると、向こうからはこちらが見えているのだろうかと心配になる。念のため横の草むらに避けるが、ここがまた露でしっとり濡れている、、、。(2022年冬詠)
枯蟷螂すがりしままの軒の梁
生きているものとも死んでいるものとも分かりませんが、動かないカマキリ、、、。(2022年冬詠)
枯葎突つ切つてある獣道
しばし休憩と車を止めた山中の道路脇の駐車スペース、その先はお決まりの枯葎、入ろうとは思わないが入れそうにもない。よく見るとその枯葎の下のほうにポッカリと穴が開いたようになっている。覗くと奥のほうまでトンネルのように続いている。獣道、穴の大きさからすると狐か狸だろうか。猪や熊ではなさそう、、、。(2022年冬詠)
神無月鳥賑やかに杜の空
近所の神社の杜、賑やかです。いちばん賑やかなのは鵯、他の鳥を寄せ付けないような声、、、。(2022年冬詠)
街の空灯りて暗し夕時雨
冬の雨の日は寒い。そして暗い、、、。(2022年冬詠)