蔓のもの皆立ち上がり秋野かな

特に葛、あの勢いはなんだ!と思ってしまう。数本が捩れあって、あたかも一本の茎のようになって、何も支えのないところにも立ち上がる。在れば在ったで、元の植物を覆いつくしてしまう。困ったものです、、、。(2014年秋詠)

金風や高き脚立に腰を据ゑ

高い脚立の一番上に腰を下ろして、少しだけいつもと違う高さの風景を眺めていると、吹く風はまさに金風、先人は上手いことを言うものだと思う。家の三方向を生垣にしている。当然その手入は私の仕事で、それほど広い訳ではないが、少しずつやっていると一年がかりになってしまう。暑ければ休む、寒ければ休む、雨の後は濡れるから休む、と休みばかりで、結局一年がかりになってしまう。「上手いもんじゃなあ、プロになれるで」なんて冗談を言う人もあるが、こんなに時間をかけていてはプロにはなれない、、、。(2014年秋詠)

すれ違ふ雲の早さも野分かな

すみません、晴れの国岡山のノー天気な句です、、、。台風も今は天気予報で逐一細かい情報を知ることが出来ますが、昔の人はどうだったのでしょう?ずいぶん怖かったでしょうね。全く得体が知れないものがジワジワと近づいて来るのだから、、、。(2014年秋詠)

仲良しの烏ととんび秋の声

このページの中には表示していないのですが、ブログを訪れていただいた方々の国別の数が分かるような機能があります。途中から取り入れた機能ですが、それを見ると、上位から日本、アメリカ、中国、ドイツの順になります。ところが、取り入れた当時に「なんで?」と思ったのが日本とアメリカの人数にほとんど差が無かったことでした。いまだに分かりませんが、やっと日本の方の数がアメリカの方の数の倍になりました。掲句とは全く関係ありません、、、。(2014年秋詠)

秋霖や教師たばこを咥へ立つ

いつも吟行に行く公園の東屋は、道を隔てた所に正門がある某高校の、教師の喫煙場所になっている。校内に喫煙場所が無いのだろう、正門を出て東屋に来ては一服して帰っていく。多い時には三人ほどでしゃべりながら一服している姿がある。個人のモラルの問題なのでとやかくは言わないが、今時いいのかな?とは思う、、、。それはともかく、せっかくなので、一句に使わせてもらいました、、、。(2014年秋詠)

右左上下に虫の音の山路

山の中を歩くとこんな感じ。上にはまだ秋の蝉が、、、。と書いたが、このところ秋雨前線のせいか、ずいぶん涼しい日が多い。上からの蝉の声はずいぶん減っている。昨年はもう少し暑かったような気がするが、、、。(2014年秋詠)

秋の蚊の必死こちらも必死なる

暦を見たら今日のところに「十方ぐれ入り」と書いてある。何のことやら分からないので調べてみた。十方暮 : 民間暦で甲申(きのえさる)の日から癸巳(みずのとみ)の日までの一〇日間をいう。この間は天地陰陽の気が和合しないで、十方の気がふさがり、万事に凶であるという。 [国語大辞典(新装版)小学館 1988] という事らしい。ご用心、、、。(2014年秋詠)

一枚に水口二つ落し水

県北では、早い所ではお盆過ぎには田圃の水が落され、八月の終わりには稲刈がはじまる。今年も、台風15号が来る前ぐらいだったか、棚田百選の棚田で稲刈が始まったとTVのニュースで流していた。毎年この時期になると流れるニュースだが、ニュースの映像に登場されるのは毎年同じ方のような気がする。きっと「他所よりも早く」を一つの目標にされているのだろうと思う、、、。(2014年秋詠)