日脚伸ぶロダンの像の脚長く

ははは、昨日が冬至で今日いきなり日脚が伸びる訳がないですね。でもグラフで言えば昨日がどん底で、今日からは右肩上がり。伸びていくのですよ、少しずつ、少しずつ、、、。掲句は倉敷大原美術館の分館前のロダンの像、、、。(2013年冬詠)

ラグビーのホーン高らかかつ無情

ラグビーも最近はタイムキーパー制で行われる試合が多くなりました。賛否はありますが、その昔ラガーメンであった私としては、試合をする場合はノーサイドとなるまで必死だから、どちらでも関係ないだろうと思います。中立の立場で見ていると、高らかに鳴るホーンが勝敗を際立たせて、ある意味面白いですね。ある意味無情、、、。懐かしい、、、。(2013年冬詠)

修行僧夢見し跡の枯野かな

美咲町の本山寺での句です。本山寺は平安末期に天台密教の山岳道場として創建され、当時は120を超える僧坊があったそうです。多くの修行僧がいたのでしょう、本堂に座って三重塔を眺めながら、当時に思いを馳せていると突然修行僧が現れて来そうな、そうな気さえして来るのです、、、。(2013年冬詠)

黒犬の背に留まりて雪となる

夕刻の散歩で久しぶりに出会った人、会えば犬に声をかけてくれる。「やあ、だいぶ歳を取ったなあ」と尾を振る犬を撫でて、「がんばれよ!」と言い残して去って行った。半年ほど前になるだろうか、人づてにその人が重い病気で岡山の病院に入院されていると聞いていたので、正直出会って驚いたのだが、犬にかけた「がんばれよ!」の一言が、私にはご自分に対する覚悟の言葉のように聞えて、しばらくその後姿を見送った。「がんばってくださいよ!」、、、。(2013年冬詠)

凍雲やクレーンの腕の伸びしまま

夏の終わりごろに散歩の途中で遠くの山に何やら光るものを見つけた。あんな所に何だろうと思ったが、思い当たるものは無くそのまま忘れていた。それが秋の終わりごろから、その光っていた辺りに大きなクレーンが何基か見えるようになった。よくよく考えてみると、新しいゴミ処理施設らしい。そう言えばいつだったか、その施設に関する環境アセスメントの書類が来ていたが、地図で見てもずいぶん離れているし、我家には関係ないだろうとほとんど読まなかった。が、地図で見ると遠くても、間に何もないと意外と近いものなんだなあ、、、。(2013年冬詠)

どん兵衛のどんぶり流れ十二月

ネット句会へ出しましたが、流石に点は入りませんでした。ご存知カップ麺どん兵衛の丼です。ひと目でそれと分かりました。上手く水に乗れば流れるものですね、大川の中央をどんぶらこどんぶらこ、、、。(2013年冬詠)

機関区を覗けば午後の冬日向

機関区には広い敷地に何本もの線路が走っている部分と、整備に使う背の高い古びた大きな建物がある。建物の中にも線路があり、その一つが塀際まで飛び出した形で、そこに大きな扉がある。夏の間はそこを開けて作業をされていることが多いが、冬は閉ざされていることのほうが多い。たまたま開いていたので覗くと、明かり取りの窓から入った午後の日差がちょうどスポットライトのように線路の部分に当たっていた、、、。(2012年冬詠)